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青森地方裁判所 昭和59年(わ)157号 判決

本店所在地

青森県五所川原市大字太刀打字早蕨九八番地四

斉勝建設株式会社

右代表者代表取締役

三上行雄

本籍

同市字旭四〇番地の三

住居

右同

駐車場経営

齊藤寛治

昭和一〇年八月五日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官石橋基耀出席のうえ審理して次のとおり判決する。

主文

被告人齊藤寛治を懲役一年に、被告斉勝建設株式会社を罰金一、八〇〇万円に、それぞれ処する。

この裁判確定の日から三年間、被告人齊藤寛治の右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社斉勝建設株式会社は、青森県五所川原市大字太刀打字早蕨九八番地四に本店を置き土木工事等を営むもの、被告人齊藤寛治は、昭和五九年八月二八日まで被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人齊藤寛治は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、被告会社総務課長工藤優と共謀の上、労務費・賞与を架空に計上する等の方法により所得を秘匿して

第一  昭和五五年六月一日から同五六年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億三、五一〇万九、四九三円でこれに対する法人税額が五、三三三万八〇〇円であるにもかかわらず、同年七月二九日、同市柳町一番地所在の所轄五所川原税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九、三六九万二、八三一円でこれに対する法人税額が三、五九四万二、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額一、七三八万八、八〇〇円を免れ

第二  同五六年六月一日から同五七年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億七、一八一万五、八二三円でこれに対する法人税額が一億九二九万六、六〇〇円であるにもかかわらず、同年七月三〇日、前記五所川原税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億九、五三二万二、七四七円でこれに対する法人税額が、七、七一七万五、一〇〇円でる旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額三、二一二万一、五〇〇円を免れ

第三  同五七年六月一日から同五八年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億二、三三三万七、一一九円でこれに対する法人税額が八、八九三万四〇〇円であるにもかかわらず、同年七月二九日、前記五所川原税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億七、〇六九万五、六一八円でこれに対する法人税額が六、六八二万八、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二、二一〇万一、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人齊藤寛治の検察官(四通)及び大蔵事務官(一六通)に対する各供述調書

一  工藤優(六通)、田中文雄、神則昭、渋谷敏彦、米谷伸一、橘尚子、対馬クニ、青山富久恵、佐藤テイ、三浦ユキヱ、神とも江、白川きゑ、白川鉄男、米塚幸次郎、長利そめ、長利ミツエ、原田助市、山下礼、神玲子、亀田喜三郎、亀田まき子、帯川のり、桑村律枝、工藤久、亀田幸美、青山冨一、佐藤正、野呂千代則、小笠原新悟、新谷則秀、長内国四郎、鳴海秀治、原田義則、米塚金義、吉岡正友、鳴海和三、白戸澪子、福井照彦、佐々木伝、福士長光、検察官に対る各供述調書

一  工藤優(一八通)、田中文雄、神則昭、斎藤一郎、渋谷敏彦(二通)、米谷伸一、尾野嘉次郎、三浦為広、工藤弘、白戸澪子(二通)、佐々木伝、斉藤俊治、福士長光、内山正勝、冨岡茂、松井弘一、淡谷元助、和島良藏、工藤駿二(三通)、齊藤祥子(二通)、工藤義正、川浪直治、斎藤一郎の大蔵事務務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の告発書、脱税額計算書(三通)、修正申告書謄本、(三通)、領収済通知書謄本(七通)、延滞税調査書、未納事業税額計算書(三通)、架空労務費等調査書、水増賞与調査書、たな卸除外調査書、仮装完成工事原価調査書、旅行費用等調査書、祝儀収入調査書、車両費調査書、減価償却費等調査書(二通)、払利息割引料調査書、価格変動準備金等調査書、常与引当金等調査書、交際費等損金不算入額調査書、寄付金損金不算入額調査書、簿外貸付金調査書、簿外預金等調査書、銀行調査書類、青色申告の承認の取消通知書謄本、修正申告の内容調査書、臨検てん末書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  五所川原市長、中里町長、木造町長、稲垣村長、森田村長、市浦村長の各申告状況の照会に対する回答書

一  被告人齊藤寛治ほか一名(四通)、被告人齊藤寛治、梅内義雄、田名部昭一(二通)、松井弘一、斉藤昇、工藤駿二、佐藤純生作成の各上申書

一  工藤セツ作成の答申書

一  西室正義作成の証明書

一  和島良藏、工藤満男作成の各申立書

一  被告人斎藤寛治、白戸澪子作成の各証明書

一  被告会社の登記簿謄本二通

一  押収してある賃金支払明細四綴(昭和五九年押第四〇号の一ないし四)、労務費集計表一綴(同号の五)、手帳一冊(同号の六)、五七年度決算資料一綴(同号の七)、〈本〉在庫と題する綴二冊(同号の八、九)、元帳九綴(同号の一〇ないし一二の各一ないし三)、伝標綴三六綴(同号の一三ないし一五の各一ないし一二)、五七年度一二月分請求書綴(同号の一六)、工事経費台帳三綴(同号の一七の一ないし三)、五八年度工事経費台帳二綴(同号の一八の一、二)、決算参考綴二冊(同号の一九、二〇)、減価償却一覧表三綴(同号の二一ないし二三)、賞与支給台帳二綴(同号の二四、二五)、生コン出荷綴(同号の二六)、合材・粒調・やき砂出荷綴(同号の二七)、新年会資料綴(同号の二八)、五七年度人夫名簿(同号の二九)、労務者名簿等(同号の三〇)、法人税確定申告書三綴(同号の三一ないし三三)

(法令の適用)

一  判示各所為

被告人齊藤寛治 法人税一五九条一項、二項、刑法六〇条

被告斉勝建設株式会社 法人税法一五九条一項、二項、一六四条一項

一  併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(最も重い判示第二の罪の刑に加重・被告人齊藤寛治につき)

刑法四五条前号、四八条二項(被告斉勝建設株式会社につき)

一  刑の執行猶予 刑法二五条一項(被告人齊藤寛治につき)

(裁判官 守屋克彦)

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